より安心できる遺言書を残すために

そもそも遺言がない場合は、法定相続分通りに分けるか、法定相続人同士が話し合う遺産分割協議によって自由に相続分を決めるようになります。
被相続人が分け方を指定したいときには遺言が必要になります。

相続人同士が揉めそうだったり、法定相続人以外に財産を残したい、などの場合には遺言が必要です。

遺言の種類

遺言には様々な種類がありますが、ほとんどは自筆証書遺言と公正証書遺言です。

自筆証書遺言

  • すべてを自筆で書きます。(財産目録はパソコンなどでの作成も可能に。)
  • 無料で作ることができます。
  • 相続が発生した場合、家庭裁判所で検認という手続きが必要になります。
  • 記載方法などに間違いがあった場合、法律的に無効になったり、紛失のリスクがあります。

公正証書遺言

  • 公証役場にて公証人という法律専門職の方と相談をして作成します。
  • 法的な問題が起きる可能性が低いです。
  • 150年間保管されています。
  • 全国の公証役場で遺言があるか検索できます。
  • 手元の遺言書を紛失しても再発行してもらうことができます。
  • 作成には費用がかかります。
  • 検認は不要です。
  • 証人が二人必要です。

その他、秘密証書、危急時遺言、隔絶地遺言、船舶中遺言、船舶遭難者の遺言などがありますが、ここでは省略します。

遺言できること

法律効果があることがらは民法で定められています。

  • 推定相続人の廃除、廃除の取消し
  • 共同相続人の相続分の指定又はその委託
  • 特別受益者の受益分の持ち戻し免除
  • 遺産分割の方法の指定又はその委託、遺産分割の禁止
  • 共同相続人の担保責任の定め
  • 遺言執行者の指定又は指定の委託
  • 包括遺贈・特定遺贈
  • 遺留分減殺方法の指定、寄附行為、信託の設定
  • 認知
  • 未成年者の後見人の指定
  • 未成年者の後見監督人の指定
  • 祭祀承継者の指定

付言事項

民法で定められた法律効果のある遺言事項は先に説明した通りですが、残された人にお礼や気持ちを伝えたい、そんなときには付言事項をつけることができます。
配偶者や子どもたちに感謝の気持ちや、財産の分割について理解をしてもらうために記載するケースが多いようです。

遺言執行者

遺言では遺言執行者を定めることができます。
遺言の内容を実現するように働く人です。
遺言はしたけれども実際にそれが実現されるか心配な場合に定めておくと安心できます。
しかし亡くなる順番はわからないですので遺言執行者が遺言者よりも先に亡くなることもあり得ます。
そのため複数の遺言執行者を指定したり、法人に遺言執行者を指定することもできます。

遺言執行者を指定したい場合

遺言書

遺言者船橋花子は次の通り遺言する。

第1条
・・・・・・・・・・・・・

第2条
・・・・・・・・・・・・・

第3条
・・・・・・・・・・・・・

第4条

  1. 遺言者はこの遺言の執行者として下記の者を指定する。
    (事務所) 千葉県船橋市本町◯丁目◯番○号
    (職業)  行政書士
    (氏名)  ○○○○
    (生年月日)昭和○○年◯◯月◯◯日
  2. 遺言執行者は、この遺言を執行するのに必要な一切の権限を有し、この遺言を執行するに際し、法定相続人の捺印を要せず単独で不動産、預貯金等の名義変更、解約、払戻請求等をする事ができるものとする。
  3. 遺言執行者は必要と認めた時はその任務を第三者に行わせる事ができる。

平成○○年◯◯月◯◯日
千葉県船橋市本町◯目◯番◯号
遺言者 船橋 花子 印

遺言者は法律専門家でも相続人でもなることができます。
ただし未成年者と破産者はなることができません。

祭祀継承者を指定したい場合の遺言書(遺言状)の書き方・文例

遺言書

遺言者船橋花子は次の通り遺言する。

第1条
・・・・・・・・・・・・・

第2条
・・・・・・・・・・・・・

第3条
遺言者は遺言者及び祖先の祭祀を主催すべき者として長男船橋和子(昭和○○年○月○日生)を指定する。

平成○○年◯◯月◯◯日
千葉県船橋市本町◯目◯番◯号
遺言者 船橋 花子 印

祭祀とは、系譜、祭具、墳墓を言います。
これらの祭祀財産は一般の相続財産とは切り離して相続されます。

以前に作成した遺言を取り消し(撤回)する場合の遺言書の文例

遺言書

遺言者船橋花子は,これまでに作成した自筆遺言証書による私の遺言を全部撤回し、ここに改めて以下の通り遺言する。

第1条
・・・・・・・・・・・・・

第2条
・・・・・・・・・・・・・

第3条
・・・・・・・・・・・・・

平成○○年◯◯月◯◯日
千葉県船橋市本町◯目◯番◯号
遺言者 船橋 花子 印

遺言はいつでも自由に撤回、変更したりすることができます。
また、新しい遺言を作成し、以前の遺言と抵触した部分がある場合には、前の遺言を撤回したものとみなします。

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